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ブログ

小児歯科医が教える“お口の発達”と離乳食・発音を育てるふれあいの時間

こんにちは。和気歯科医院・院長の横道由記子です。


小児歯科の診療と、母としての育児の中で実感していることがあります。

それは、まねっこ遊び(模倣遊び)やふれあい遊びの時間が、現代の子育て環境では減ってきているということ。

これは決して親御さんが悪いのではありません。
働き方、生活リズム、家族形態、デジタル環境…大人も子どもも、昔とはまったく違う時代を生きているからです。

しかし、まねっこ遊びは
離乳食・咀嚼トレーニング・発音(構音)・鼻呼吸・舌トレーニング・口腔機能訓練
のすべての土台になる、とても大切な関わり方です。

今回は、
今日から少しずつ取り入れられる“お口育て×発達支援”をお伝えします。

🔸 まねっこ遊びは「天然の口腔機能訓練」

赤ちゃんは、大人の表情や口元を見て、
舌を出す・唇をすぼめる・ほっぺを動かす
といった動きをまねることが知られています

この模倣は、乳幼児に備わった自然な学習方法です。

そして小児歯科の視点では、これは立派な
口腔機能訓練(口腔筋機能療法の前段階)
といえます。

  • 舌を前後左右に動かす → 舌トレーニング
  • 唇を閉じる → 呼吸の安定・食べる力の土台
  • ほっぺを動かす → 咀嚼・コミュニケーションの基礎
  • 口をすぼめる・開ける → 発音・構音の準備

まねっこ遊びは、赤ちゃんにとって天然のMFT(口腔筋機能療法) なのです。

🔸 現代の子育てでまねっこ遊びが減っている理由と口腔機能発達への影響

ここ10年ほどで、診療室のお子さんの口の発達に大きな変化を感じます。

  • 舌が低い位置にある(舌低位)
  • 口がぽかんと開きやすい
  • 離乳食が進みにくい
  • 表情が固い
  • 声が出にくい

これらは、口腔機能発達不全や、その一歩手前の状態です。

そして背景には、“まねっこ遊びや対面のふれあいが減りやすい社会環境”
があると感じています。

  • ワンオペ育児
  • スマホ・動画の普及
  • 親の仕事・家事負担の増加
  • 核家族化
  • 外遊び・人との関わりの減少


これだけ忙しい中で育児を頑張っている親御さんは本当に素晴らしいと思います。

だからこそ「できる範囲で大丈夫。一緒にやってみませんか?」
という提案です。

🔸まねっこ遊びで育つ4つの力

〜舌トレーニング・咀嚼トレーニング・発音の土台〜**

 ① 舌・唇の力(お口の基礎体力)

舌の動きや唇を閉じる動きは、

  • 離乳食の唇、舌運動
  • 咀嚼(噛む)
  • 嚥下(飲み込み)
  • 発音


すべての基礎です。

 ② 表情筋と発音の準備

赤ちゃんは、大人の表情や口の形を“見ているだけ”でも、
脳の中では「自分も同じように動かす回路」が働き始めます(これをミラーニューロンの働きといいます)。

だから、

  • ママが口を大きく開ける
  • 舌を出す、鳴らす
  • 唇を鳴らす
  • にっこり笑う

といった動きを見せるだけで、
赤ちゃんは頭の中でその動きを練習していて、
のちの 発音の準備運動 になっていきます。

「見て、まねて、できた!」の積み重ねが、ことばを話す力の土台になります。

 ③ 姿勢 × 呼吸 × 嚥下の協調

赤ちゃんは、抱っこされて安心した姿勢の中で、
ママやパパと目を合わせてやりとりすることで、
首や体幹(体のまんなか)が少しずつ安定していきます。

体が安定すると——

  • 呼吸が整いやすくなる
  • 口の中の動き(舌や唇)がスムーズに動く
  • 飲み込み(嚥下)が安全に行いやすくなる

という良い循環が生まれます。

「安定した姿勢で安心して遊ぶ」ことが、食べる力の育ちにつながっています。

 ④ 感覚統合(見る・聞く・触れる)

赤ちゃんは、

  • ママの表情を見る
  • 声や歌を聞く
  • 抱っこやタッチで“触れられる”

といった いくつもの感覚が同時に働く経験 を通して、脳の中で情報をまとめる力(感覚統合)が育っていきます。

手遊び歌やふれあい遊びは、
この“見る・聞く・触れる”が自然にそろうので、
発達支援の分野でも とても効果が高いと言われている関わり方 です。

赤ちゃんにとっては「遊んでいるだけ」でも、脳の発達にとっては大事な栄養になっています。

🔸離乳食が進まない背景には模倣の経験不足がある

離乳食が進みにくい子の多くに共通するのは、
大人の口の動きを見る機会が少ないことです。

離乳食の動作はすべて模倣。

  • 食べ物を見る
  • 口を開ける
  • 食べ物を口の中に取り込む
  • 唇を閉じる
  • 舌で食べ物を前→奥の歯へ運ぶ
  • 咀嚼、嚥下する

まねっこ遊びの経験が多いほど、これらがスムーズにできるようになります。

🔸今日からできる「まねっこ×お口育て」3つのコツ

口元をゆっくり・大げさに見せる

30cmの距離で、安心できる抱っこ姿勢がおすすめ。
短時間で十分です。

 ② リズムのある音遊び(パ・バ・マ行)

唇を閉じる → 開く音は口輪筋を鍛える口腔機能訓練になり、口呼吸改善にも効果的です。

手遊び歌 × ふれあい遊び

“見る・聞く・触れる”の同時刺激で、発達支援としても非常に価値があります。

また、ふれあい遊びの中でもくすぐりあいっこは、笑うことで お口まわりの筋肉や舌がよく動き、発音や食べる力の土台 を育てます。

同時に、大きく息を吸って吐く動きが 呼吸のリズムを整え、鼻呼吸の習慣づけ にもつながります。

ただ楽しい時間に見えて、実は 口腔機能と呼吸の発達をやさしくサポートする“最強のふれあい遊び” です。

🔸気になるサインは来院してご相談ください

〜口腔筋機能療法・摂食嚥下評価も対応〜**

  • 口がぽかんと開いている
  • 舌が下がったり前に出たりしている
  • 離乳食が進まない
  • むせやすい
  • 発音が心配

などのサインがあれば、ご相談ください。

必要に応じて

  • 口腔筋機能療法(MFT)
  • 舌トレーニング
  • 咀嚼トレーニング
  • 食支援

なども行っております。

しかし、どんな専門訓練よりも、家庭でのまねっこ遊びやふれあい遊びが土台になります

🔸完璧じゃなくていい。30秒のまねっこが未来のお口を育てる

育児に完璧は必要ありません。
疲れた日、余裕がない日、泣いてしまう日…そんな日がたくさんあります。

だからこそ、30秒でも
今日できる“ちょっとしたまねっこ”が、
赤ちゃんのお口と心の未来を育てます。

  • オムツ替えの30秒
  • 抱っこの1分
  • 離乳食前のワンアクション

この積み重ねが、
お口の発達・鼻呼吸・発音・食べる力・歯並び
すべての根っこになります。

お口の発達・離乳食・舌や唇の動き・呼吸のことは、専門家に相談するとスッとラクになることが多くあります。
和気歯科医院では、口腔機能や発達に関するご相談をいつでも承っていますので、どうぞ遠慮なくお声かけください。

ご予約はお電話でどうぞ。